水のコラム
水栓の仕組みと種類、選び方
水栓は、どんな種類を設置するかで水回りの利便性を大きく左右する場合があります。とはいえ、何を選べばよいか悩むという方もいらっしゃるかもしれません。水栓の基本情報を知ると、商品選びやトラブル対策に役立つでしょう。
そこで今回は、水栓の主な種類や利用場所に適した選び方をご紹介します。
水栓から水が出る仕組み
水栓は、蛇口の形状や水の出る仕組みによって主に「単水栓」「2ハンドル水栓」「シングルレバー式水栓」「サーモスタット式水栓」の4種類に分かれます。
・単水栓
単水栓は、吐水と止水の機能だけをもつシンプルなタイプです。蛇口からは、水かお湯のどちらか一方しか出せません。普段、ハンドルを閉めているときは、スピンドルがコマを押さえ止水します。ハンドルを回しスピンドルが上がると、水圧によりコマも持ち上げられ水が出てきます。
・2ハンドル水栓
2ハンドル水栓は、ひとつの蛇口に水用とお湯用のハンドルがついたタイプです。各ハンドルの回し加減で、水量や温度を調節します。止水時にスピンドルがコマを押さえ、ハンドルをひねりスピンドルとコマが移動すると水が出るところは単水栓と変わりません。水とお湯は、水道の吐水口部分で混ざります。
・シングルレバー式水栓
シングルレバー式は、ハンドルが水用とお湯用に分かれません。単一のハンドルの内部にはカートリッジが装備されており、ハンドル操作によりカートリッジのなかのディスクが動くと水の流れる量や温度が変わります。多くの場合、ハンドルを上下に動かすと水量、左右に動かせば水温を調節できます。
・サーモスタット式水栓
サーモスタット式は、吐水・止水の切替用と温度調節用のハンドルがついたタイプです。ハンドル内部に温度調節機能をもったサーモスタットが組み込まれているので、蛇口から出てくる水の温度はほぼ一定に保たれます。お湯を出している最中、急に水温が変わりハンドル調整が必要になる面倒はありません。
利用場所にふさわしい水栓を選ぼう
家に水栓を設置するときは、キッチン・洗面台・浴室といった利用場所に応じて水栓の種類を選ぶのがポイントです。
・キッチン
キッチンでは、調理する食材を洗うときやお鍋に水をためる際、片手がふさがっていることは少なくありません。そんな場面で使い勝手に優れているタイプは、シングルレバー式水栓です。ひとつのハンドルで水量と水温ともに調節できるので、わざわざハンドル操作のたびに食材や調理道具を手放す必要はありません。何か片手にもったまま簡単にハンドルを動かせれば、忙しくても食事の準備や食後の洗い物を効率よく進められるでしょう。
・洗面台
洗面台は、1日のなかでも利用する機会がとりわけ多い場所です。朝の洗顔にはじまり、食事ごとの手洗いや歯磨き、お風呂上りの髪の手入れや就寝前の準備まで、いろいろな用途で使います。家族全員が何度となく使うことを考えれば、比較的にハンドル操作が簡単で使い勝手のよいタイプが適しているかもしれません。多くの家庭では、シングルレバー式や2ハンドル水栓がよく選ばれています。
・浴室
浴室では、できるだけ快適に過ごしたいものです。寒さの厳しい冬場でなくても、髪を洗っている途中で急に冷たい水が出てくるのは好ましくありません。突然の水温変化を防いでくれる水栓が、サーモスタット式です。あらかじめ水温調節用のハンドルで適温に設定しておけば、使用中に再操作する面倒はありません。水温の急変を気にすることなく、ゆっくり髪や体を洗いながらリラックスできます。
水栓の交換は自分でできる?
1日に何度となく使われる水栓は、部品にかかる負担も小さくありません。故障したとき、ワンホールタイプなど簡単な仕組みのものであればDIYできる可能性があります。
・ワンホールタイプの仕組み
ワンホールタイプとは、蛇口をキッチンや洗面台の天板に取りつける穴がひとつのものです。穴がふたつの場合にはツーホールタイプ、壁に設置される水栓は壁付きタイプと呼ばれています。ワンホールタイプであれば、キッチン用と洗面台用ともに取りつけ穴の直径が多くのメーカーで共通です。これまでと異なるメーカーの製品に交換するときでも、穴のサイズを心配する必要はありません。
・ワンホールタイプの交換方法
水栓の交換時には、まず作業前に止水栓を回して水を止めます。次は、水栓につながる配管を撤去してから蛇口本体の固定ナットを外します。ナットを手で動かせなければ、レンチやスパナを使って緩めてください。古い水栓を取り除いたら、新しいものに交換です。水栓本体をナットで固定し、配管をつなぎ直して止水栓を開ければ作業完了です。最後に必ず、水漏れしないかチェックしてください。
・難しければ業者に依頼
ワンホールタイプは比較的に簡単な仕組みといっても、人によっては交換作業が難しく感じられるかもしれません。無理すると、固定ナットやネジを傷つけてしまい本体の交換だけでは済まなくなる恐れがあります。うまく付け替えられるか不安であれば、少し出費は増えるとしてもトラブルを避ける意味で専門業者に頼むのが確実です。
水栓には、さまざまな種類があります。具体的な利用シーンを考慮せずに設置すると、使い勝手が悪くなるかもしれません。そんな失敗を防ぐためには、利用場所ごとに最も合うタイプを選ぶのが重要です。