水のコラム

備蓄防災は大丈夫?備蓄防災で水を用意するポイントや注意点

2021年04月08日  水のトラブル【豆知識】


さまざまな自然災害の被害を受けやすい日本では、日頃から防災の意識を高めておくことが必要です。
とくに食料品や水などは復旧に時間がかかることを想定して、数日分用意しておくことをおすすめします。

今回は備蓄防災で水を用意する際のポイントや注意点についてご紹介いたします。
用意していないという方はぜひこちらを参考に用意してください。

防災備蓄用の水はどれくらい必要?

まずは防災備蓄用に必要な水についてご紹介いたします。

・水は必ず用意した方がいい?

万が一の備えとして防災備蓄を用意しようと考えた際に、「水は重たいからかえって邪魔になりそう」「水よりも大切なものがあるのでは?」などの考えがある方もおられるかもしれません。
しかし水は必ず用意しましょう。

人間の体は60%以上が水分でできています。
生命活動を維持するうえで水は欠かせない存在であり、不足すると心身に影響を及ぼします。
毎年夏になると熱中症や脱水症状への注意喚起が行われていますが、十分な水分が摂取できなければ季節に関係なく体は脱水状態に陥ります。
体重の約2%の水分を失っただけで体に不調が出はじめ、10%以上を失うと意識障害や腎不全といった生命の危機に関わる症状が現れます。

また災害時は普段と違う状況から、心身共に大きなストレスを抱えやすくなっています。
体調を崩して発熱、嘔吐、下痢などの症状が出た場合、通常時よりも多くの水分が必要になることがあります。
そのため、必ず水は余裕を持った量を意識して用意しておくことが大切です。

・どれくらいの水を用意すべき?

日常の活動量や体重などによって異なりますが、1日に必要な水の量は成人の場合で約2.5リットルです。
なお、この中には食事から摂取できる分や体内で作られる分も含まれます。

人は飲用だけでなく多くのことに水を使うため、洗濯やトイレ、入浴、調理などに使う水を含めて考えると、1人1日3リットルの水は用意しておきたいところ。

ライフラインの復旧に時間がかかることを考えると、最低でも3日分の水を用意しておきましょう。できれば1週間分の用意があると安心です。

3人家族の場合、1日分で9リットルの水が必要になり、3日だと27リットルになります。
1週間分となると63リットルもの水が必要になるため、保存が難しいと感じる方もおられるかもしれません。

たとえ保存ができても無駄にしてしまいそうという場合は、ローリングストックを活用しましょう。
古いものを手前に置き、消費期限が近付いたら消費して新しいものを後ろの方にストックする方法です。
水は防災備蓄用として保存期間が数年と長いものもあるため、忘れないように消費と入れ替えを行ってください。

・ペットがいる家庭はペットの分の水も忘れずに用意しよう

最近はペットを飼っている家庭も多くなっており、ペットの分の水を用意することも大切です。
人間には物資の支援がありますが、ペットの分は支給されないことが多いため、各家庭で準備しておくことが大切です。

・備蓄は家庭だけでなく企業でも必要

家庭での防災備蓄の準備は大切ですが、企業での準備も欠かせません。

東京都は2013年4月に、全国ではじめて「東京都帰宅困難者対策条例」を施行しました。
これは災害発生時に適切な行動をとるよう個人に促すと同時に、従業員が帰宅できない場合に施設内に滞在できるように、企業に対して防災備蓄用品を準備することを求めるものです。

なお、従業員1人あたりに必要とされる防災備蓄用品の量は家庭と同じです。
水であれば1日3リットル、食事は3食分、毛布1枚分などです。また、家庭と同様に最低でも3日分の確保が必要とされています。
ほかには医薬品や衛生用品などの準備も必要とされています。

必要な水の種類


続いて防災備蓄用に必要な水の種類についてご紹介いたします。

・飲食用

まず、決して欠かすことができないのが飲食用の水です。
生活用水などはバスタブに溜めておくことで対応できることもありますが、飲用水だけは衛生状態が非常に重要なため、正しく処理されたものを保管しておく必要があります。

1人1日3リットルが理想ですが、難しい場合は非常食に水分を多く含んでいるものを用意するなどの対策を取りましょう。
人は1日に最低2リットルの水分を必要としますので、減らしすぎないように注意してください。

水だけでなく野菜ジュースなどを用意しておけば、ビタミンなどの補給にも役立ちます。
飲用水のすべてを代用することはできませんが、一部であればジュースやお茶などに変えることもできるため、検討してみることもおすすめです。

なお、レトルト食品を温める際に必要な水は体の中に入らないため飲食用に含めずに考えておくことがポイントです。

・衛生用

できれば衛生用の水も用意しておきましょう。
衛生用とは、歯磨きや洗面などに使う水です。入浴は難しいため、汚れや汗が気になるときは、身体を拭くための対策が必要になります。
たとえば、衛生用の水を減らす工夫として、デオドラントボディーシートやドライシャンプーなどを活用する方法があります。
また、歯磨きの場合は液体歯磨きやマウスウォッシュなどを用意しておくことも有効です。

・トイレ用

水洗トイレが普及している現代では、水道が止まることでトイレが使えなくなってしまいます。
水が止まってしまった場合でも、完全に流さないなら少量の水を手動で水を注げば問題ありません。
ただし、完全に流す場合は1回につき十数リットルが必要になります。

災害時には上下水道の水道管が壊れている可能性も考えられます。
断水中に水を流すとトラブルにつながるので勝手に水を流すことは避けた方が良いでしょう。

できれば携帯用トイレをストックしておくことをおすすめします。トイレの水を手動で流すのは水道管が壊れていないことが確認できたときのみにしましょう。

・ペットや赤ちゃん用

ペットにミネラルウォーターを与える場合は、水に含まれている成分を確認しておきましょう。
硬水にはミネラルが多く含まれているため、長期的に与えると尿路結石などの原因になるとも言われています。
すでに尿路結石を発症しているようであれば避けた方が良いでしょう。
最近はペット用のミネラルウォーターなども販売されています。備蓄用にはペット専用の水を用意しておくことをおすすめします。

赤ちゃんがいる場合は、赤ちゃんの身体をきれいにするためや哺乳瓶の殺菌消毒、ミルクの湯冷ましなどに使用する赤ちゃん用の水を分けて考えておくことが大切です。

ほかにも、災害時のストレスで母乳が出なくなってしまうこともあるため、普段は母乳を与えている方でも災害時に備えて防災用のミルクと水を準備しておきましょう。
なお、粉ミルクを作るための水に硬水はおすすめできません。
硬水のミネラル成分は消化器官が未発達な赤ちゃんの内臓に大きな負担をかけてしまい、下痢などを起こしてしまう原因になるからです。赤ちゃんのミルクを作る際は必ず軟水を使用しましょう。

最近は常温で保存がきくタイプの液体ミルクも販売されているため、液体ミルクをストックしておくのがおすすめです。

防災備蓄用の水の保管について


続いて防災備蓄用の水を保管する方法についてご紹介いたします。
保存方法が適切でなければ、しっかり備蓄していた水が使えなくなってしまうことがあるので注意しましょう。

・必ず直射日光が当たらない場所に保存する

水だけでなくどんなものにも言えることですが、直射日光が当たる場所での保管は避け、風通しの良い場所を選びましょう。

実は、通常のペットボトル入りの水と長期保存向けに製造された水の品質はほぼ変わりません。
水源から採取された後、ろ過や殺菌加工が行われ、容器に充填されていきます。

違いがあるとすれば、長期保存がききやすいように通常のものよりも容器を厚くしていることが挙げられます。

防災備蓄用の水は長期保管がきくからといっても、直射日光が当たるところに置いていると品質に影響が出る可能性が高くなります。
適切な場所に保管して使いながら備蓄するようにしましょう。

また、保存場所はいくつかに分けるようにしましょう。
一か所にまとめて保存していると、災害で保存場所が被害に遭ってしまったときに備蓄した水が全て無駄になってしまうからです。
水は常温での保存が可能なので、直射日光が当たらないクローゼットやパントリー、収納スペースなどに分散して保存することをおすすめします。

自宅での保存が難しい場合はトランクルームを活用するのも有効な手段です。

防災用にウォーターサーバーの水を活用することも有効です。
定期購入することで自然とローリングストックが可能になり、停電で保温・保冷機能が使えなくても常温の水として利用することができます。

・においがする場所は保存に不向き

保存する場所は直射日光が当たらないことが必須条件ですが、においが強い場所も避けましょう。
特に飲用水はにおいがすると非常に飲みにくくなってしまいます。

ペットボトル入りの水であっても、においが強い場所に長期間保存しておくとにおいが移ってしまうことがあります。
ペットボトルの素材は気体を通すため、においの成分も通ってしまうことが原因です。

・開封後はできるだけすぐ使い切ること

未開封の水であれば常温で保存することができますが、一度封を開けた水は雑菌が繁殖しやすくなっています。
そのため、封を切った水は早めに使い切るようにしてください。

菌の繁殖を抑えるには冷蔵庫など冷暗所での保存が必要ですが、停電している場合は保存が難しいため、クーラーボックスなどを活用すると良いでしょう。
長期間の保存が可能な防災備蓄用の水であっても、封を切ると効果がありませんので注意してください。

・備蓄用の水はなぜ長期保管が可能?

日本で販売されている水の多くは処理技術が高いため、長期間保存していても劣化しにくくなっています。

繰り返しになりますが、ペットボトルには気体が通ることができる微細な穴が開いているため、ペットボトルに入っていてもそこからわずかに水が蒸発します。
そのため、ペットボトルに記載されている賞味期限は飲むことができる期間ではなく、蒸発しても内容量が確保できる量として、軽量法違反にならない期限を表示しています。

長期保存が可能な防災備蓄用の水は、通常のペットボトルに比べて気体が通りにくくなっており、賞味期限も長くなっています。

・備蓄用水選びのポイント

備蓄用の水は、保存期間、大きさ、硬度の3つに気を付けましょう。

硬度はこれまでご紹介してきた項目に何度か登場していますが、ご年配の方や幼いお子さん、ペットには適しません。
また、健康な成人であっても災害時のストレスによって体調を崩しやすくなっているため、胃腸に負担がかかりやすい硬水は避けた方が無難です。

サイズは持ち運びやすいものなど、必要に応じて選びましょう。

防災備蓄用の水に水道水は使える?

最後に水道水を防災備蓄用の水として使うことについてご紹介いたします。

・備蓄用のペットボトルなどより保存期間は少ないが可能

東京都水道局によると、水道水は常温の場合3日、冷蔵庫なら10日の保存が可能とされています。
保存期間が長くなると水道水に含まれている塩素が減っていき、雑菌が繁殖する原因になります。
そのため、水道水を容器に入れて保存する場合は必ず保存方法と保存期間を守ることに気を付けてください。使用する容器は必ず消毒したものを使うことも大切です。

・煮沸して保存してはいけない

消毒になるからと煮沸することは大きな間違いです。
水道水はすでに消毒をされた状態であり、煮沸すると塩素が抜けて雑菌が繁殖しやすくなります。
水道水を保存する場合は煮沸しないようにしてください。
ただし、飲む前に煮沸する分には問題ありません。

・保存期間が過ぎてしまった水道水はどうする?

飲み水として使えなくても、洗濯などの家事で使うことはできます。
口に含むことに抵抗がない場合は、歯磨きのときに使うこともできますが、保存期間から長く経過している場合は避けた方が良いでしょう。
他にも潅水や掃除などで無駄にならないよう活用してください。

 
防災を意識していると、普段どれだけ水道に生活を助けられているかが分かるのではないでしょうか。
安心して暮らすためにも、日頃から水道のメンテナンスもしっかり行いましょう。トラブル回避も防災と同じくらい大切ですよ。

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あいち水道職人(愛知水道職人) 0120-492-315

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