水のコラム
賃貸と戸建てでは水道トラブルの対処法が異なる?賃貸の水道トラブル解決方法とは
賃貸は戸建てと違い、入居者以外に物件の管理をしている会社やオーナーがいます。
そのため、もし水道でトラブルがあった場合は戸建てと同じように対処することはおすすめできません。
賃貸ではどのように対処すればいいのでしょうか。
今回は賃貸で水道トラブルが起こった場合、どのように対処すればいいのか注意点などと併せてご紹介いたします。
賃貸物件で水道トラブル発生!最初にとるべき行動
・管理会社や貸主への連絡
賃貸物件で水道トラブルが起きた場合、最初にするべきことは「管理会社や貸主への連絡」です。
トラブルの内容を報告し、指示を仰ぐようにしましょう。
水道トラブルで最も多いのは水漏れで、以下のようなことが原因で起きます。
・お風呂のお湯を出しっぱなしにしてしまった
・トイレのタンクの水が止まらない
・洗濯機のホースが外れていた
・排水管・給水管・給湯管の破損
・水回りの設備を無理に取り付けたことによる破損
水漏れなどの水道トラブルを、素人が自力で修理するのはおすすめできません。
余計に状況が悪くなってしまう可能性が高いためです。
「少しくらいなら大丈夫だろう」と放置しておくのも、壁や床にカビ発生のリスクがあるため避けるようにしましょう。
また、無断で業者を呼んで修理するのも避けましょう。
水道トラブルの際は、必ず最初に管理会社や貸主に連絡することを覚えておいてください。
・業者に連絡を入れる
賃貸物件によっては、管理会社が提携している修理業者がいます。
提携業者がいる場合、水回り設備の近くに連絡先が記載されたシールが貼られてあるか、契約書に記載されているので確認してみましょう。
管理会社に連絡すれば提携先の業者を手配してくれることがほとんどです。
しかし、管理会社からの指示で自分が業者に連絡しなければならないこともあります。
自分で連絡しなければならない場合は、修理の日程などのやり取りも自分で行わなければなりません。
・深夜や緊急時は直接業者に連絡を
深夜や休日・祝日などで管理会社や貸主と連絡がつかない場合もあります。
しかし、水のトラブルは一刻も早く修理してもらわなければ、日常生活にも支障をきたすでしょう。
その場合、自分で業者に直接連絡して修理してもらうことをおすすめします。
インターネットで「地域名・水漏れ」のキーワードで検索すれば、修理業者が見つかるはずです。
業者に修理依頼した際は、必ず領収書や修理完了証明書を保管しておいてください。
後で管理会社に修理費を請求できます。
また、水道業者に水漏れの原因を特定しておいてもらうようにしましょう。
原因によっては修理費を管理会社に負担してもらえない場合もあるからです。
これに関しては後の項で詳しく説明します。
また、原則は「管理会社や貸主に連絡すること」なので、業者への直接連絡はあくまで緊急時の手段であることを認識しておきましょう。
・保険の確認
管理会社や業者への連絡が終わったら、入居時に契約した火災保険の確認もしておきましょう。
自分の過失で水漏れを起こしてしまった場合は、保険の内容によって負担額が大きく変わります。
確認すべきことは以下の2つです。
1.「借家人賠償責任保険」がついているか
2.「個人賠償責任保険」がついているか
自分の過失による水漏れで壁や床の修理が必要になった場合、借家人賠償責任保険がついていれば保険で補償してもらうことができます。
また、水漏れによって階下の部屋に損害を与えてしまった場合でも、個人賠償責任保険で補償が可能です。
・水漏れの修理費用相場
一般的に、水漏れの修理費用は以下のような相場になります。
・簡単な作業(蛇口・シャワーまわりのパッキン交換など):5千~3万円前後
・壁、床などの張替え:数万~数十万円
・家財への被害に対する賠償:~数百万円
・階下の住民に損害を与えた場合の賠償:〜数百万円
蛇口やシャワーの簡単な修理くらいであれば、修理費も比較的安く済みます。
問題は、自分の部屋や備え付けの家財、階下の部屋に損害を与えてしまった場合です。
階下の部屋に損害を与えてしまった場合は、修理費・賠償額が数百万円にのぼる可能性もあります。
階下の部屋の壁・床の張替えが必要になることもありますし、家財も賠償の対象です。
階下の住民が部屋で生活できない状況であれば、ホテルなど仮住まいの費用を負担しなければならない場合もあります。
賃貸の水道トラブルは誰の責任?
・経年劣化の場合は管理者側
水漏れの原因が設備の経年劣化(=長い年月が経ったことで自然に劣化した)であれば、管理者側の責任です。
修理費を管理者側に負担してもらえるだけでなく、自分(入居者)の家財や生活備品も補償してもらえます。
管理者側から「修理費用ではなく、今後の家賃を引き下げる形で補償させて欲しい」と申し出られることがあるかもしれません。
この場合、修理費用・家賃の引き下げのどちらを取るかは、損害状況・修理費用額をきちんと確認してから判断することをおすすめします。
安易に判断してしまうと、「実は自分で払う修理費用の方が高額で、家賃の引き下げを選んだばかりに損をしてしまった」という事態にもなりかねないためです。
・過失や故意での破損は入居者側
過失や故意により水漏れが起きた場合は入居者側の責任になるため、修理費や賠償額は全て自己負担となります。
ただし、連絡をしたのに管理者側がすぐに対応しなかった、放置していたなどが原因で事態が悪化した場合は、管理者側の責任です。
万一の場合に備えて、管理会社に連絡した日や管理会社の対応などは記録に残しておくようにしましょう。
・管理者側には調査義務もある
水漏れの原因が「設備の経年劣化」「入居者の過失」のどちらであっても、管理者側に調査義務があります。
入居者には協力義務があるので、管理者側の調査に応じなければなりません。
これは、階上の部屋からの水漏れで自分が損害を被った場合も同様です。
「自分の部屋の水漏れではないから」と必要以上に立ち入り調査を拒んだ結果、入居者が損害賠償を命じられた判例もあります。
当事者の場合はもちろん、階上のトラブルであっても調査に協力しなければならないことを覚えておいてください。
・残置物は入居者の責任になる
残置物の損害に関しては、経年劣化によって起きた水漏れであっても管理者側は補償してくれません。
残置物(ざんちぶつ)とは、以前の入居者が退去時に残していった設備のことです。
エアコンや冷蔵庫などの家電は、貸主さんの許可を得たうえで置いていかれるケースがあります。
水漏れによって残置物に損害が生じても、修理・買い替え費用は入居者の自己負担です。
備え付けの備品が管理者側の用意したものなのか、それとも残置物なのかは確認しておきましょう。
賃貸物件で水のトラブルに関する注意点
・ここに注意しよう
賃貸物件で水のトラブルに注意が必要なのは、以下の4箇所です。
・排水管
・給水管
・給湯管
・エアコン
排水管は使用した水を排水する管で、一般的にキッチンや洗面台のシンク下の扉内にあります。
特に経年劣化しやすいのは管の接合部分のパッキンです。
パッキンの耐用年数が約10~15年ほどなので、古い物件では水漏れの原因になりやすい箇所といえるでしょう。
また、地震の影響で管に亀裂が入って水漏れを起こすこともあります。
排水管には常時水圧がかかっているわけではありません。
後述の給水管・給湯管に比べると、破損の可能性はやや少ないといえます。
給水管・給湯管は、洗濯機置き場・洗面台・浴室・台所などで使用する水・お湯を供給している管です。
排水管と同じく接続部分のパッキンの劣化により水漏れを起こします。
給水管・給湯管は排水管よりも細いうえに、管の中が常に高圧の水で満たされているため、破損しやすい箇所です。
噴き出す水の勢いも強く、破損箇所の特定も難しいため、止水処置をするまでの時間が長くなればなるほど被害も大きくなってしまいます。
また、エアコンからの水漏れにも注意が必要です。
エアコンの水漏れの原因は、エアコンから排出した水を屋外へ流す「ドレンホース」です。
ドレンホースの中にゴミ・汚れが詰まってしまったり、ドレンホースが極端に曲がっていたりすると、水漏れが起きてしまいます。
歯ブラシなどを使って、定期的にドレンホース内のゴミをかき出すようにしましょう。
・個人賠償責任保険への加入
自分の故意・過失による水道トラブルに備えて、個人賠償責任保険に加入しておくことも大切です。
賃貸物件の火災保険には、以下の3種類があります。
1.借家人賠償責任保険=貸主さんに対する補償
2.家財保険=自身の財産を補償
3.個人賠償責任=自身の所有物以外を補償
借家人賠償責任保険は、自分の過失・故意により建物や部屋に損害を与えてしまった場合に役立つ保険です。
たとえば、お湯を出しっぱなしにして部屋中を水浸しにしてしまい、床を一部修繕することになった場合などに補償してもらえます。
家財保険は、自分の部屋内の所有物に対する保険です。
たとえば、部屋中が水浸しになって家電製品が壊れてしまった場合などに補償してもらえます。
個人賠償責任保険は他人の所有物に対する損害も補償してもらえる保険です。
水漏れによって階下の住人の家電製品を壊してしまった場合などでも補償してもらえます。
階下の部屋・住民に損害を与えてしまうと賠償額も高額になるため、万一に備えて個人賠償責任保険には加入しておくべきといえるでしょう。
・もっとも重要なのは発生原因
水のトラブルが起きた際に最も重要なのが、発生原因の特定です。
水漏れが「自らの過失」で引き起こされたのか、「経年劣化」による事故なのかで、責任の所在が異なります。
過失による水漏れであれば入居者の責任ですが、経年劣化によるものであれば管理者側の責任です。
ただし、これは賃貸契約内容によって変わることもありますので、契約内容はよく確認しておいてください。
ちなみに、「自らの過失」とは以下のような場合を指します。
・蛇口の閉め忘れ
・無理な使い方、乱暴に扱ったことによる破損
・洗濯機のホースが外れるなど
一方、経年劣化は管理者側が修繕を怠ったことによる「排水管劣化」「給水管劣化」「給湯管劣化」などが代表的です。
経年劣化かどうかの判断は水道業者が行いますので、正しく調査してもらうようにしましょう。
・悪化する前に報告しよう
水のトラブルが起きたとき、悪化する前に管理会社に連絡することも大切です。
水漏れが起きているにもかかわらず放置していると、事態が悪化することがあります。
たとえば、水に濡れた床や壁を放置していてカビが生えてしまったなどの場合です。
これは、善管注意義務違反とみなされ、修理費用の一部を支払わされることがあります。
善管注意義務とは、「社会生活において一般的に求められる程度の注意をしなくてはならない義務」のことです。
賃貸契約の場合、部屋が壊れたり汚れたりしないように注意するのが、入居者に課せられた善管注意義務になります。
水漏れトラブルを放置することは、この善管注意義務を怠ったと判断されてしまい、入居者の責任を追及されてしまうのです。
・修理費用を払ってもらえない場合は?
経年劣化で水道トラブルが起きたとき、すぐに対処してくれる貸主さんがほとんどです。
しかし、中には修理費用の支払いを拒んでくる貸主さんもいるかもしれません。
その場合は、修理業者から貸主さんに故障原因の説明をしてもらいましょう。
修理業者から改めて「貸主さんに責任があります」と伝えてもらえば、支払いに応じてくれる可能性が高くなります。
原因の説明とともに修理完了証明書も用意してもらえば効果的です。
それでも支払ってもらえない場合は、家賃の支払い時に修理費用を差し引いた金額で支払うといった方法もあります。
しかし、双方がエスカレートする前に話し合いで解決するのが、最良の方法といえるでしょう。
・内部結露の発生に注意
床に水漏れした場合、床下や壁に内部結露が生じる恐れがあるため、拭き取りを徹底してください。
内部結露によってシミ・カビが発生するリスクがあります。
シミ・カビが発生すると、退去時に原状回復費用を支払う必要があるため、注意が必要です。
拭き取りには、「雑巾」「消毒用のエタノールスプレー」を用意してください。
雑巾で水気を拭き取った後にエタノールで床を拭いておくと、結露の発生や雑菌の繁殖を抑えることができます。
賃貸の水のトラブルのまとめ
賃貸での水道トラブルの対処は戸建ての場合と異なりますので、十分に注意する必要があります。
賃貸で水道トラブルが起きた場合には、焦らずにまずは管理会社に連絡をしましょう。