水のコラム
お風呂の水でトイレを流すのはNG?断水時に知っておきたい正しい備えと活用法【水道職人:プロ】
「断水時にはお風呂の水をためておけば安心。」 そんなイメージを持っていませんか?
実はこの考え方、現代では必ずしも正しいとは言えないことをご存じでしょうか。
国土交通省による最新の防災知識として、「お風呂の水でトイレを流すのはNG」といった注意喚起も行われています。
過去には「非常時の生活用水としてお風呂の水をためておくべき」と言われていましたが、誤った使い方をすると余計なトラブルや衛生問題を引き起こす可能性があるんです。
この記事では、断水時に正しい知識でお風呂の水を活用する方法や、やってはいけない使用例、代わりに準備すべき備蓄品などについて詳しくご紹介します。
正しい備えと活用法を知ることで、急な断水時でも安心して過ごせる準備を整えましょう。
目次
過去の常識は今や危険?最新の防災知識
「断水時にはお風呂の水をためておくと安心」これは以前から言われてきた防災知識のひとつです。
たしかに、お風呂の残り湯は掃除や洗濯などの雑用水として便利に使えるため、生活用水を確保する手段として重宝されてきました。
しかし、近年の防災知識では、お風呂の水をためておくことが必ずしも推奨されていないケースがあるんです。
特に、トイレを流すためにお風呂の水を使用することについては、国土交通省をはじめとした関係機関が注意を促しています。
トイレには使えない!国土交通省も注意喚起
「断水時にはお風呂の水をトイレに流す。」 これまで常識とされてきた方法ですが、現在はその危険性について国土交通省をはじめとする関係機関から注意喚起が行われています。
一見便利に思えるこの方法が、なぜ避けるべき行為とされているのでしょうか?
その理由と正しい対策について解説します。
なぜお風呂の水でトイレを流してはいけないのか?
最も大きな理由は、配管トラブルのリスクです。
お風呂の残り湯には見えない皮脂や石鹸カス、髪の毛などの不純物が含まれています。これらの不純物が排水管内でつまりを引き起こし、流れが悪くなるだけでなく、逆流してしまう恐れもあります。
特にマンションなどの集合住宅では、上階からの排水が下階に逆流することで広範囲に被害が及び、近隣住民とのトラブルに発展する可能性もあるため、特に注意が必要です。
実際にあったケースとして、断水時にトイレを流そうとお風呂の水を使った結果、災害による配管の破損に気付かず、階下の部屋で汚水が漏れだしてしまうといった事故も…。
断水時、特に災害による発生時は、不用意な排水は控えるよう注意が必要です。
代わりに準備すべき簡易トイレや備蓄品
では、断水時にトイレを安全かつ衛生的に使うためにはどうしたら良いのでしょうか? 重要なのは、事前の備えと正しい代替手段を確保することです。
まず、非常用トイレの備蓄が有効です。
近年では、便座にセットするだけで使える簡易トイレや、使用後に排泄物を凝固剤で固めて処理できるタイプのものが多く販売されています。
これらは処理が簡単で、衛生的にも優れており、長期間保存できるため防災用備蓄品として最適でしょう。
また、携帯用ウォーターバッグの用意もおすすめです。
軽量で折りたたみ可能なため収納場所も取らず、断水時の手洗いや最低限の洗浄用水として活躍します。
ただし、これもトイレの排水用ではなく、あくまでも手指の洗浄や口に触れない用途に限ることが重要です。
他にも、除菌シートやアルコールスプレーの備蓄も、災害発生時にはありがたい存在となります。
水が使えない状況では手洗いが不十分になりがちですが、こういったアイテムがあれば衛生管理をある程度維持できます。
使える?使えない?お風呂の水の安全な活用法
お風呂の水は、正しく使えば断水時の生活を支える大切な資源になります。
ただし、すべての用途に使えるわけではなく、使用方法を誤ると衛生トラブルや設備の損傷を引き起こす可能性があるということを念頭に置きましょう。
ここでは、お風呂の水を安全かつ有効に使う方法をご紹介します。
【使える用途】
・掃除用の水として活用
床やベランダの掃除、水拭きなどの清掃作業に使うのは問題ありません。特に、外用の掃除や庭の手入れには十分活用できます。
・洗濯用の予備水として使用
汚れが少ないタオルや雑巾の洗濯にはお風呂の水を使うことができます。ただし、衣類など肌に直接触れるものは避けたほうが無難です。
・火災時の応急的な消火用水
万が一の火災発生時、初期消火のための水として使用できます。火を完全に消し止めるための水量として、お風呂の水は有効です。
【使ってはいけない用途】
・トイレの排水用水としての使用
国土交通省の注意喚起でも指摘されているように、お風呂の水でトイレを流すことはNGです。理由としては、配管のつまりや逆流のリスクがあるため、トイレの排水には簡易トイレや非常用トイレの使用が推奨されています。
・調理や食器洗いなどのキッチン用途
お風呂の水には見えない雑菌や不純物が含まれているため、調理や食器洗いなど口に入るものへの使用は避けるべきです。
・ペットや植物の水やり
植物やペットに使用する場合も、衛生上の問題が生じるため控えましょう。特に長時間ためた水は細菌の温床となるため、動植物の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
水を使用する際の衛生管理のポイント
お風呂の水を断水時に活用する場合、衛生面への配慮が非常に重要です。
見た目にはきれいに見えるお風呂の水でも、使用方法を誤ると健康被害につながる可能性があります。
特に、断水中は水を十分に使った手洗いや清掃が難しく、細菌やウイルスが繁殖しやすい環境になりますので、使用前に水の状態を確認することが大切です。
まず、においや色に異変があれば、雑菌が繁殖している可能性があるため、使用は控えましょう。
お風呂の水は、なるべく24時間以内に使い切ることが推奨されます。
長時間ためた水は、カビやバクテリアの温床となるため、使わずに捨てるほうが安全です。
また、お風呂の水を使った後は必ず除菌・消毒する習慣を守りましょう。
水を扱う際に直接触れることで手に付着した細菌を取り除くためには、適切な手洗いが欠かせません。
断水時は水が限られているため、ウェットティッシュや消毒用アルコールなどを普段から用意しておくと安心ですね。
お風呂の水は、決して清潔な水ではないことを念頭に置き、調理や飲用、肌に直接触れる用途には使わないことが鉄則です。
ただでさえ衛生管理が難しい断水時。
衛生的な生活を維持するためには、水の使用用途を正しく理解し、でき得る範囲で衛生管理を徹底することが何よりも重要です。
正しい知識で水回りトラブルを防ごう
断水時の対応では、思い込みや自己判断が大きなトラブルを引き起こす原因になることがあります。
「お風呂の水をトイレに使う」など、これまで当たり前と思われていた方法でも、何も考えずに実行してしまうと、配管つまりや設備の故障、さらには衛生面でのリスクを伴う可能性があります。
もちろん、こうした問題は断水などの非常時だけでなく、日常生活においても起こりうるものです。
例えば、わずかな水漏れや流れが悪い排水を放置することで、重大な水回りトラブルに発展してしまうことも少なくありません。
日頃から水回りを正しく管理し、異変を感じた際は自己判断での対処を避け、専門家に相談することが重要です。
水回りのメンテナンスは「あいち水道職人」に!
私たち「あいち水道職人」では、日常的な水回りのメンテナンスや点検を通して、トラブルの防止をサポートしています。
日々の暮らしを支える大切な水回りだからこそ、正しい知識と定期的なケアで安心を手に入れましょう。
もし少しでも気になることがあれば、お気軽に「あいち水道職人」にご相談ください。
私たちが、日常の小さな不安から大きなトラブルまで、しっかりと対応いたします。
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